# 05. 設計原則 — 競合との差分・品質指標・やらないこと

> 本書は、キクバが時間の経過とともに「よくあるプレゼンAI」へ溶けていくのを防ぐための文書です。
> 企画は放っておくと必ず平均に引き戻されます。**その引力に抵抗する仕掛け**をここに置きます。

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## 1. 設計原則（7つ）

### 原則1：場から先に返す。順序を崩さない

出力は必ず `① 場 → ② 導入 → ③ 本編` の順で返す。
UIの都合でも、ユーザーの要望でも、この順序は変えない。

**なぜ守るのか**：順序を崩した瞬間、キクバは台本生成ツールになる。
順序は機能ではなく主張である。

**レビュー観点**：どの画面・どの出力にも「場の提案」が先頭にあるか。

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### 原則2：やることを増やさない。やめることを1つ渡す

商談前の5分でできるのは、行動を減らすことだけ。
アドバイスは「〜しよう」より「〜しない」を優先する。

**なぜ守るのか**：直前に足された行動は実行されない。実行されない助言は価値ゼロ。

**レビュー観点**：出力の中に「〜しない」形の項目が必ず含まれているか。

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### 原則3：一般論を返すくらいなら、質問を1つ返す

条件が薄いとき、キクバは無理に出力しない。
「決裁者は同席しますか？」のような**追い質問を1つだけ**返す。

**なぜ守るのか**：一般論を1度返した時点で、ユーザーは二度と開かない。
「知っていることを言われた」の失望は、沈黙より重い。

**レビュー観点**：出力に「傾聴」「信頼関係」「準備が大事」のような抽象語が入っていないか。

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### 原則4：相手の尊厳を下げる提案を出さない

相手の弱みを突く、焦らせる、情報を隠す、上下関係を利用する——
効果があっても出さない。出力段階でフィルタする。

**なぜ守るのか**：使っていて気持ち悪いサービスは、短期的に効いても続かない。
そして「相手を操るアプリ」というレッテルは一度つくと剥がせない。

**レビュー観点**：この提案を相手本人に見せられるか。見せられないなら出さない。

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### 原則5：本番中は、場の中心に立たない

商談中の通知を送らない。リアルタイム添削を作らない。
アプリが優れているほど、本番中の存在感は薄くなる。

**なぜ守るのか**：場を良くするためのアプリが、場を壊す側に回るのは自己矛盾である。

**レビュー観点**：新機能が「商談中に開かせる」性質を持っていないか。

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### 原則6：成約ではなく、相手の聞き方の変化で測る

プロダクト指標・マーケティングの言葉・社内の会話、すべてで
「成約率」ではなく「質問が出たか」「次の時間をもらえたか」を主語にする。

**なぜ守るのか**：測る指標が、作るものを決める。
成約で測り始めた瞬間、機能は営業ハックへ流れ出す。

**レビュー観点**：ダッシュボードの一番上に何が表示されているか。

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### 原則7：短さを仕様で守る

出力の文字数上限をシステム側に固定する（合計約550字）。
「今回は丁寧に説明したい」を許さない。

**なぜ守るのか**：長い出力は読まれない。
そして出力は、放っておくと必ず長くなる。人の意志では守れないので、実装で縛る。

**レビュー観点**：上限を超える出力が1件でも出ていないか。

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## 2. 競合との差分（ポジショニング）

| カテゴリ | 代表的な提供物 | 主戦場 | 測る指標 | キクバとの決定的な差 |
|----------|----------------|--------|----------|---------------------|
| プレゼン教材・書籍 | 話し方の型 | 事前（学習） | 読了・満足度 | 一般論であり、この回に閉じない |
| 営業研修・ロープレ | スキルトレーニング | 事前（集合研修） | 受講率・スキル評価 | 話者中心。場の条件を扱わない |
| 商談解析AI | 録画・文字起こし・分析 | 事中〜事後 | トーク比率・キーワード | 事後の分析が主。次の場づくりに戻らない |
| 提案書生成AI | スライド・文章の生成 | 事前（コンテンツ） | 作成時間の短縮 | 何を出すかは作るが、いつ出すかを決めない |
| セールスイネーブルメント | 組織の営業標準化 | 通期 | 成約率・パイプライン | 組織管理。個人の対話の質から始めない |
| **キクバ** | **場の設計＋最初の60秒** | **事前5分＋事後1分** | **相手の聞き方の変化** | **「この回の条件」に閉じた、場から先の設計** |

### 差分を1行で

> 他社は「何を、どう話すか」を支援する。キクバは「相手が聞く気になる条件」を設計する。

### 競合が真似しにくい理由

- 機能ではなく**出力の順序と短さ**が価値なので、機能追加では追いつけない
- 「作らないもの」のリストがサービスの輪郭になっているため、機能を足すほど自社の輪郭がぼやける
- 蓄積される「効いた型」がユーザー個人の言葉であり、乗り換えコストになる

逆に言えば、**キクバ自身が機能を足しすぎた瞬間に、この優位は消えます。**

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## 3. 品質指標

### 3.1 プロダクト指標（この順で見る）

| 順位 | 指標 | 目標 | なぜこの順位か |
|------|------|------|----------------|
| 1 | 振り返りQ1で「質問が出た＝はい」の割合 | 60%以上 | サービスの存在意義そのもの |
| 2 | 設計→当日チェック到達率 | 70%以上 | 出力が実際に使われた証拠 |
| 3 | 入力所要時間の中央値 | 90秒以下 | 5分に収まらなければ使われない |
| 4 | 4週目継続率 | 40%以上 | 「効いた型」が溜まる前に離脱していないか |
| 5 | 1ユーザーあたり月間設計件数 | 6件以上 | 週1.5件＝仕事のリズムに入った状態 |

**成約率はダッシュボードに載せない。** 見えるものは必ず追われる。

### 3.2 出力品質のレビュー基準（毎週サンプリング）

出力を10件抜き出し、次を人が確認する。

- [ ] ①場の提案が先頭にあるか
- [ ] 「〜しない」形の項目が含まれているか
- [ ] 抽象語（傾聴・信頼関係・準備が大事）が入っていないか
- [ ] 条件（時間・形式・相手）が出力の文面に具体的に反映されているか
- [ ] セリフがそのまま声に出して読める日本語か
- [ ] 合計文字数が上限内か
- [ ] この提案を相手本人に見せられるか

**7項目すべてYesでなければ不合格。** 1項目でもNoならプロンプトを直す。

### 3.3 定性の観測項目

数字の外側で、次の声が出ているかを見る。

- 「具体的すぎて笑った」（初回のAha）
- 「今日はこれをやめようと思えた」（行動の減少）
- 「自分のノートになってきた」（蓄積の実感）
- 「相手に見せても大丈夫な内容だった」（尊厳の担保）

逆に、次の声が出たら黄信号。

- 「知ってることだった」→ 原則3の破れ
- 「読むのが大変」→ 原則7の破れ
- 「ちょっと気持ち悪い」→ 原則4の破れ

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## 4. やらないこと（永久リスト）

| やらないこと | 理由 | 破ったときに起きること |
|-------------|------|----------------------|
| 成約予測スコア | 測る指標が作るものを決める | 営業ハック道具へ変質する |
| 本番中のリアルタイム添削 | 場の中心に立つことになる | 場を壊すアプリになる |
| 相手のSNS・個人情報の自動収集 | 尊厳フィルタと矛盾 | 気持ち悪さが便益を上回る |
| 提案資料の完全自動生成 | コンテンツ側へ寄る | 資料生成AIと区別がつかなくなる |
| 「誰でも説得のプロ」系のコピー | 立場を裏切る言葉 | 言葉に引きずられて中身も変わる |
| 出力の長文化 | 読まれない | 価値がゼロになる |
| 大人数登壇向けの拡張 | 対話の場から離れる | 改善のフィードバックが取れなくなる |

このリストは、機能追加の議論のたびに読み返します。
**「良さそうだから入れる」を一度許すと、次から歯止めがなくなります。**

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## 5. 意思決定のときに立ち返る3つの問い

新しい機能・コピー・指標を検討するとき、必ずこの3問を通す。

1. **これは「場」から先に返しているか？**（順序の原則）
2. **これは、ユーザーのやることを増やしていないか？**（減らす原則）
3. **この提案を、相手本人に見せられるか？**（尊厳の原則）

3問すべてにYesと言えないものは、どれだけ数字が良さそうでも入れない。

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## 6. この文書で決めたこと

- 7つの設計原則を、レビュー観点つきで固定した
- 競合との差分は「出力の順序と短さ」であり、機能数では守らない
- プロダクト指標の第1位は「質問が出た割合」。成約率はダッシュボードに載せない
- 出力品質は毎週10件を7項目でレビューし、1項目でも不合格ならプロンプトを直す
- 「やらないこと」を永久リストとして明文化した

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## 付録：企画ドキュメント群のまとめ

| 文書 | 決めたこと |
|------|-----------|
| 01 | 課題は話し方ではなく「聞く動機」。サービスはキクバ。肝は5つ |
| 02 | 場＝5条件の総体。出力順序は場→導入→本編で固定。トークは最初の60秒に集中 |
| 03 | 主ペルソナは準備5分のセールス。Ahaは「やめることが1つ決まる」。画面は6つ |
| 04 | MVPは8機能のみ。出力は約550字で固定。成約予測と常時添削は永久に作らない |
| 05 | 7原則＋週次の出力レビュー＋やらないこと永久リストで、平均への引力に抵抗する |
