# 03. ユーザー体験設計 — ペルソナ・シーン・ジャーニー

> 本書は `02_service_concept.md` の思想を、具体的な人・時間・画面に落とす文書です。
> 判断基準は一つ。**「この人が、その日、本当にアプリを開くか」**。

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## 1. ペルソナ

### P1（主）：中村 直人 / 34歳 / SaaS企業 フィールドセールス

- 入社4年目。プロダクト理解は社内トップクラス
- 商談は週8〜12件。うち初回が半分
- 提案書は自分で作る。中身には自信がある
- 悩み：「説明はできている。でも、途中から相手の顔が『早く終われ』になる」
- 過去に読んだ本：3冊。実践できたのは最初の2週間だけ
- 準備に使える時間：**商談直前の5分**（それ以上は物理的に無理）

**この人がキクバを開く瞬間**：移動中の電車、次の商談の15分前。

### P2（副）：小林 佳奈 / 41歳 / 製造業 事業企画

- 社内の稟議・部門横断の合意形成が主戦場
- 相手は自分より役職が上。決裁者が同席することも、しないこともある
- 悩み：「正しいことを言っているのに、会議で流される」
- 営業ではないので「営業テクニック」の言葉に強い拒否感がある

**この人がキクバを開く瞬間**：前日の夜、明日の会議の資料を閉じたあと。

### P3（拡張・初期は対象外）：採用面接官 / 研究発表者 / 士業 / 地域活動の合意形成

将来的に効くが、初期は入れない。理由は `04_feature_catalog.md` のスコープ判断に記載。

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## 2. 中村さんの1日（利用シーン）

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08:20  電車。今日は4件。3件目のA社が本命
       → キクバに条件を入れる（1分半）
         目的=初回提案 / 相手=情シス課長・決裁者不在 / 30分・オンライン / 不安=遮られる
       → 出力を読む（2分）
         「決裁者不在なので、今日は決めさせない。次の場を取ることをゴールにする」
         「最初の5分は画面共有を出さない」
         「最初の一文：『30分いただいてます。25分でお返しします』」

13:55  A社の5分前。チェックリストだけ見る（30秒）
       □ 終わりの時刻を最初に伝える
       □ 資料は3枚まで
       □ 相手の困りごとを一文で確認してから資料を出す

14:00  商談。キクバは開かない。

14:35  終了直後、駅までの道で3問だけ答える（40秒）
       Q1 相手から質問は出たか → はい
       Q2 どこで前のめりになったか → 「運用の引き継ぎ」の話
       Q3 次に変える一点は → 資料の2枚目を先に出す

金曜   週次のまとめ通知。
       「今週、効いた型：終わりの時刻を最初に伝える（4回中4回、質問が出た）」
```

この体験の総所要時間は **1件あたり約5分**。ここを超えると使われません。

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## 3. ジャーニーマップ

| フェーズ | ユーザーの状態 | キクバの役割 | 成功のサイン |
|----------|----------------|--------------|--------------|
| **認知** | 「聞いてもらえない」を自分の話し方のせいだと思っている | 「あなたの話が悪いんじゃない」と免責する | LPで「それだ」と声が出る |
| **初回起動** | 半信半疑。とりあえず1件入れてみる | 入力3分以内・出力は3ブロックだけ | 出力に「具体的すぎて笑った」瞬間がある |
| **初回利用（Aha）** | 商談15分前に読む | 「今日はこれをやめる」を1つ渡す | 商談で実際に1つやめられた |
| **定着** | 週2〜3件で使う | 入力を前回からの差分だけにする | 入力時間が90秒を切る |
| **蓄積** | 4週目 | 「効いた型」が5つ溜まる | 自分の言葉のノートとして開く |
| **推奨** | 3ヶ月目 | 同僚に見せられる形にする | チームプランへの問い合わせ |

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## 4. Aha体験の定義（1つだけ）

> **商談の15分前に「今日はこれをやめよう」が1つ、具体的に決まる。**

言い換えると、キクバの初回成功は「良いことを教えてもらった」ではありません。
**行動が1つ減ること**です。

やることが増えるアドバイスは、直前の5分では実行できません。
やめることが1つ決まるアドバイスは、その場で実行できます。

この非対称性が、キクバのUXの土台です。

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## 5. 画面設計（6画面）

### 5.1 ホーム
- 「今日の場」カード（時刻・相手・形式・準備完了度）
- 直近の予定2件
- 主アクション：**新しい場を設計する**

判断：カレンダー連携は魅力的だが、初期は手入力でよい。
理由は、入力しながら条件を整理する行為そのものに準備効果があるため。

### 5.2 場を設計（入力）
4項目のみ。すべてチップ選択かスライダーで、自由記述は最小限。

| 項目 | UI | 選択肢例 |
|------|----|---------|
| 目的 | チップ単一選択 | 提案 / 相談 / 報告 / 合意形成 |
| 相手 | チップ複合 | 役職・関係性（初対面/取引中）・想定態度（警戒/多忙/懐疑/協力） |
| 制約 | スライダー＋トグル | 時間15-90分 / 対面・オンライン / 人数 |
| 不安 | チップ複数選択 | 聞いてもらえない / 遮られる / 刺さらない / 決まらない |

**入力90秒**が設計目標。90秒を超えるUIは削る。

### 5.3 設計結果（出力）
必ず3ブロック、この順で。スクロールせずに①が読めること。

1. **場の設計案** — 3項目まで。それ以上は出さない
2. **最初の60秒** — 実際のセリフを鉤括弧で。読み上げられる形
3. **やってはいけないこと** — 3つまで

出力の総文字数の上限を設ける（後述の品質基準）。長い出力は読まれない＝価値ゼロ。

### 5.4 当日チェック
6項目のチェックボックス。完了カウンタ。
最下部に静かな一文：**「本番中は、キクバを閉じてください。」**

これは機能ではなくメッセージです。ここでプロダクトの立場が伝わります。

### 5.5 振り返り（3問）
- Q1 相手から質問は出たか（はい / いいえ）
- Q2 どこで前のめりになったか（自由記述・任意）
- Q3 次に変える一点は（自由記述・任意）

必須はQ1のみ。**Q1だけ答えても成立する**設計にする。
商談直後の40秒しか使えない前提でつくる。

### 5.6 効いた型（蓄積）
- 効いた型カード（型の名前・効いた回数・相手タイプ）
- 相手タイプ別フィルタ
- 週次サマリー

ここがリテンションの本体。**アプリが自分のノートになった瞬間に解約されなくなる**。

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## 6. オンボーディング

3画面だけ。

1. 「提案の中身は、悪くない。」（共感）
2. 「問題は、聞く動機が立ち上がっていないこと。」（再定義）
3. 「まず1件、明日の商談を入れてみましょう。」（即実行）

チュートリアルは作らない。1件目の設計そのものがチュートリアルになるようにする。

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## 7. 通知設計

| タイミング | 内容 | 理由 |
|-----------|------|------|
| 商談15分前 | チェックリストへの導線のみ | 直前に読むのが最も効く |
| 商談終了5分後 | 3問への導線 | 記憶が鮮明なうちに |
| 金曜18時 | 週次「効いた型」まとめ | 蓄積を可視化する |

**商談中の通知は絶対に送らない。** 場を壊すアプリになった時点で思想と矛盾します。

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## 8. 失敗する体験（先に想定しておく）

| 失敗 | 症状 | 対策 |
|------|------|------|
| 出力が一般論 | 「傾聴が大事です」が返る | 条件が薄いときは出力せず、追加質問を1つだけ返す |
| 出力が長い | 商談前に読み切れない | 文字数上限を実装レベルで固定する |
| 入力が面倒 | 2回目以降が続かない | 前回の条件を複製できるようにする |
| 振り返りが埋まらない | Q2/Q3が空のまま | Q1だけで成立する設計にする（すでに反映済み） |
| 気持ち悪さ | 相手を操作している感覚 | 「相手の尊厳を下げる提案を出さない」を出力フィルタに入れる |

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## 9. この文書で決めたこと

- 主ペルソナは「準備に5分しか使えないフィールドセールス」
- Aha体験は「やめることが1つ決まる」こと。増やすアドバイスは出さない
- 入力90秒 / 出力は3ブロック / 振り返りは3問（必須は1問）
- 画面は6つ。カレンダー連携も音声解析も初期は入れない
- 商談中は通知を送らない。これは仕様ではなく立場である

次は `04_feature_catalog.md` で、この体験を実現する機能を優先度つきで並べます。
